データ点数と相関係数

免責事項

本ページは、相関係数および統計的な有意性に関する一般的な情報を教育的目的で提供するものであり、特定の金融商品への投資を勧誘・推奨するものではありません。投資に関する意思決定は、必ずご自身の判断と責任に基づいて行ってください。

相関係数とは

相関係数とは、2つの値の動きがどの程度似ているかを−1から+1の範囲で表す指標です。+1に近いほど同じ方向に動き、0に近いほど関係がなく、−1に近いほど逆の動きをすることを意味します。

分散投資と相関係数の関係

分散投資とは、値動きの異なる複数の資産を組み合わせて、全体としての価格変動の幅(リスク)を抑えることを目的とする方法です。一般的には、相関係数が小さい、あるいは負の資産同士を組み合わせることで、分散効果が得られるとされています。

相関係数と統計的な有意性

相関係数が本当に意味のある関係を表しているか、それとも偶然に近いものなのかを判断するために、「統計的な有意性」という考え方が使われます。
このとき、「有意水準(p値)」という基準が使われます。これは「偶然にこんな相関が起こる確率」を意味するもので、たとえば p < 0.05 であれば「5%未満の確率でしか起こらないような、意味のある相関である」と考えます。

また、有意性の判断には、もう一つ重要な要素として「データの数(n)」があります。データが少ないと、偶然の影響が大きくなり、厳しい基準が必要になります。反対に、データが多ければ、より小さな相関係数でも意味があると判断できるようになります。

以下の表では、各データ数(n)において、統計的に「意味のある相関」と判断されるために必要な最小の相関係数の値(臨界値)を、有意水準(p < 0.10、p < 0.05、p < 0.01)ごとに示しています。

※ 一般的には p < 0.05(信頼度95%)がよく使われますが、分析の目的によって p値の基準は自由に選ぶことができます。

データ数(n) r(p < 0.10) r(p < 0.05)
※デフォルト
r(p < 0.01)
30.9880.9971.000
40.9000.9500.990
50.8050.8780.959
60.7290.8110.917
70.6690.7540.875
80.6210.7070.834
90.5820.6660.798
100.5490.6320.765
200.3780.4440.561
300.3060.3610.463
400.2640.3120.403
500.2350.2790.361

この表の活用について

この表に示された相関係数は、各データ数において「統計的に有意である」と判断される最小の値です。相関係数がこの値よりも小さい場合、統計的に意味のある関係とは言いづらく、分散投資の観点では資産の動きが異なるとみなされる可能性があります。相関係数がより小さくなるほど、分散効果が期待される傾向があります。

相関係数の評価基準

たとえばデータ数が10の場合、有意水準 p < 0.05 における相関係数の下限は上記の表から0.632です。この数値を境界にした判断基準の例を以下に示します。
他のデータ数の場合も、上表のrの値を基に読み替えてご利用ください。

相関係数の範囲 r 関係の強さの傾向 分散投資効果の目安(あくまで例)
0.632 ~ 1.0強い正の相関分散効果はほとんど期待できない
0.0 ~ 0.632中程度〜弱い相関限定的な分散効果
r = 0.0相関なし高い分散効果が期待できる
-1〜0逆の動き(負の相関)良好な分散効果

判断基準の選択について

統計的に有意かどうかを判断する際の基準(有意水準)は、分析の目的やリスク許容度によって異なります。どの水準(例:p < 0.05 や p < 0.01など)を採用するかは、利用者ご自身の裁量に委ねられます。

戻る